秘密を守れない女性が好きだ。【東野圭吾著:秘密】

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私は口が軽い女の子が好きだ。

「秘密ね」と言われても自動的に言わない相手に彼氏は含まれず、当たり前のようにつつけ抜けになってしまう子が好きだ。

もちろん、自分が秘密にしておきたかったことが彼女らの手によってバレてしまい、あらぬ噂をたてられてしまうこともある。

自分だけじゃなく、彼女らの悪びれない行為によって強制的な羞恥プレイにあう友人だって少なくないのだけれど。


秘密は人を重くする

東野圭吾さんの「秘密」を読み返した。

この本は1999年、あの東野圭吾を世に知らしめたブレイク作。

母と娘が乗ったスキーバスが転落事故にあい、2人の中身が入れ替わってしまうところから物語はスタートする。

母の魂をもった娘の体は11歳。また、娘の魂が入ったとされる母の体は植物状態だった。

母は娘の分もと新しい人生を歩み始めるが、進学や青春の日々に伴い夫との関係に歪みが生まれる・・・。

キャッチコピーは「運命は、愛する人を二度奪っていく」

ある日、突然かかえこまなければならなくなった秘密が重くのしかかる作品です。

秘密を守れなくても憎めない軽やかさ

秘密を守れなくても仕方がないというわけじゃない。

どちらかといえば、私はボロさえ出なければ秘密は秘密のままとっておくし、そうあってしかるべきだと思っている。

だけど、秘密を守れない(守らない?)彼女たちの、あの軽やかさは何なのだろう。

秘密を守ろうと言葉をうちにため込んでいたら、どんどん重たくなってしまうのだろうか。

まわりに捕らわれないから、そこまで軽やかに、楽しそうにしていられるのだろうか。

約束は守るべきだ。

それは紛れもない事実だろうけど、何かに捕らわれない、何かに固執して大事にしようとしていないそのさまに、たぶん惹かれるんだと思う。

また、秘密はとても重くて苦しい。

そんな大きな荷物なんて、できれば下して忘れていってしまいたい。

だから、秘密をつくらない彼女らに語って、どうかこの重さを肩代わりして欲しいんじゃないだろうか。

本当の秘密は誰にも言わない。

それでも言ってしまうその理由は、もうこの秘密をどこかに放り投げてしまいたいからなのだと思う。

東野圭吾が隠した「秘密」とは

そんなことを東野圭吾さんの「秘密」を読みつつ思い返した。

娘の体を操る母の秘密、それを受け止めようとする夫の秘密。

その秘密を知ってはいけなかったあの人に伝わってしまうことで、この物語はラストに向かいます。

バッドエンドだとかモヤモヤが残るといわれがちな今作だけれど、(東野圭吾さんにとってそれは褒め言葉ですね)

秘密がばれなけばハッピーエンドだったのか。秘密を持ち続けているべきだったのかと私は疑問に思う。

読み終わった後の打ちのめされるような気だるさに、「秘密をもつ」ことが諸刃の剣であることをおしえられる1冊です。

自分に足りないのは、ほんのちょっとのさらけ出す勇気なのかもしれない。

そこを不可抗力といえるような程、秘密を守れず軽やかに蹴破ってくるから、私はきっと彼女たちのことが好きなのだ。

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