さよならドビュッシー : 中山七里さん :自分らしくいるために声を出す

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以前書いた『おやすみラフマニノフ』に続いて、中山さんシリーズ。

 

中山七里さんの『さよならドビュッシー』を読みました。

 

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「最後にどんでん返しがあってね、面白かったです。思わず買っちゃいましたからね、クラシックのCDを。」<「ダ・ヴィンチ」9月号>と妻夫木聡さんも絶賛した音楽ミステリー。
祖父と従姉妹とともに火事に遭い、全身大火傷の大怪我を負いながらも、ピアニストになることを誓う遥。コンクール優勝を目指して猛レッスンに励むが、不吉な出来事が次々と起こり、ついに殺人事件まで発生する……。ドビュッシーの調べも美しい、第8回『このミス』大賞大賞受賞作。

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さよならドビュッシー あらすじは?

ピアニスト志望で、某高校に推薦入学を予定していた香月遥。納得できない先生、両親からのプレッシャーなど、色々な問題をかかえていたけれど、家族仲はいいし、従姉妹の片桐ルシアがいたので心強かった。

ルシアは、2か月前にスマトラ沖地震で家族をなくした、天涯孤独の身。遥は、可哀そうだと思う反面、気の合う同い年のルシアと一緒に暮らせて、嬉しかったのだ。

ただ、そんな二人を悲劇が襲う。香月家当主である香月玄太郎の部屋から出火、香月邸の離れは全焼。香月玄太郎、遥、ルシアは火事に巻き込まれてしまう。

この日を境に、ピアノ、相続金問題、家族の信頼関係を絡めた、悲劇が始まる。

 

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うーーーん。あらすじを考えてみたけど、ドビュッシー話題が出せなかった。むむむ。

ひとりのピアニスト志望者ががんばるストーリーなので、『さよならドビュッシー』の方が、すこしだけ『おやすみラフマニノフ』より音楽に突っ込んでる気がするんですけどね。入れられなかった。

 

★『さよならドビュッシー』はピアノ突出なのに対して、『おやすみラフマニノフ』オーケストラがメイン。オケあるある が多い。吹奏楽をやってた身としては、この合奏感のある描写、好きです。

 

この岬洋介の音楽シリーズも残すところあと2作。

中山さん著書の本だと『カエル男』も読んでるので、どんどん足していきたいなー。

 

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話を『さよならドビュッシー』に戻します。

ひとりのピアニストに絞っているからこそ、その人のまわりの家族関係、友人関係、生活に迫ってる感があります。

殺人が起きたり物語感はあるけど、さながらドキュメンタリー番組のようなお話。

 

音楽描写がすごい・・・!と言われている中村七里さんですけど、キャラクターがたっているので、音楽以外の場面もかなり面白いと思います。

人間臭いのが好きな人は気に入ると思う。

 

自分らしくいるために声を出す

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 ネタバレを含みますが。。。

主人公ははっきり言って、これでもか!ってくらいの不幸にあいます。もう、やることなすこと不幸だらけ。不幸にしかつながらない。

 

途中、わたしのせいで・・・とか、わたしがいなければ・・・なんて思い始めるところもあるのですが、悲劇のヒロイン感がまったくない。むしろ「イヤイヤイヤ、そう思っちゃうよねえぇぇぇ」って共感しかできません。もう、悲劇だもん。

 

その悲劇の一部として、彼女は火事で色々なものを失います。その中のひとつが声。

彼女には、ガラガラと掠れたカエル声しか残りませんでした。 

 

いやいやいや、多感な時期ですよ主人公!高校生よ! ちょっと中山七里さん意地悪すぎない?てゆうかカエル男といい、音楽とカエル好きすぎない?(笑)

 

まあ、案の定、主人公はあまりしゃべらなくなります。

カエル声になるほど声帯が焼けているわけですから、痛みもあると思います。なにより、思っていることを声に出す=自分を自覚するということです。

 

思っていることを声に出す=自分を自覚する

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嬉しい時に「うれしい!」と言ったり、怒っている時に「本当ムカつく!」なんていうと、ああ、こんなに自分は思っていたんだなあって実感しませんか?

何度話しても嬉しさがなくならないたびに、こんなに嬉しかったのか、自分、みたいな。

 

主人公は自分が発した声を聞くことで、自分がカエル女だと自覚したくなかった。

同時に、最終的なトリックを理由としても、自分を自覚したくなかったのだと思います。(けむに巻いていますが、ネタバレしすぎているからこの表現で!)

 

ただ、そんな主人公が、自ら声をはりあげるシーンがあります。

 

つっかかってくるイジメっ子を一喝するときとか、ピアノをやるのかやらないのか決める時、などなど。

これらのシーンをまたいで、主人公は自分のやりたいピアノに没頭したり、いろいろなことに腹をくくります。

それは、思っていることを声に出す=自分を自覚することができたからだと思います。

 

自分を自覚したい、自分らしくありたいなら、思っていることを声にだすのが近道だと思います。

声をあげたら否定されるかもしれない・・・って頭をよぎるけど、否定の声もあげづらさは一緒だと思います。たいていが匿名や陰でいう程度だし、100%好かれるなんて無理ですから。

それよりも、聞こえて態度を変えてくれる周りを大事にした方が、生きやすいと思います。

 

さよならドビュッシー、映画化されてたりする。

2013年1月26日に、香月遥役は橋本愛さん、岬洋介役は清塚信也さんで、映画化されているんですね。

 

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原作者の中山七里さん、取材で映画を称賛しています。

 

「この小説はピアノ曲や協奏曲をまるまる文章で表現することに挑戦した“読む音楽”で、だからこそ成立する物語なのだから映像化することに意味はないと考えていたが、実際に完成した作品を観てみると、そんな自分の思惑を一気に飛び越えた作品になっていて驚いた。“音楽”が完全に主役の1人になっており、主人公がピアノで周囲の評価を一変させるシーンでは鳥肌がたった。馬鹿がつくほどの映画ファンとして観ても、大傑作だ。」

 

なんか嬉しさが伝わってくる気がする^^

中山七里さん可愛い。

 

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橋本愛さんの凛とした綺麗さも、主人公にあっていると思います。色々な境遇に出くわしたひと特有の、サスペンディングな感じ。

あどけない顔立ちと、知的で大人な表情・・・美人さんですよね。